まーたる日記

米津さんLOVE❤️のブログ初心者です(^з^)-☆見た目問題当事者の視点から「見た目問題」について綴るとともに、まったり日常で思うことを書いていきます(*´꒳`*)よろしくお願いします(*´∀`)♪

まーたる、ショートストーリーを書いてみた⑭

まーたる、ショートストーリーを書いてみた第14弾ヽ(*´∀`)

 

 

秋の夜長のショートストーリー。

 

 

楽しんでいただけたら幸いです(*´꒳`*)

 

 

 

 

                    「月のラヴレター」

 

 

 一目惚れだった。

 

 初めて会った大学のサークルコンパで、オレの心は小夜ちゃんに持ってかれたんだ。

 

 天文学同好会とかいう、正直興味のかけらもないサークルに響太に無理やり連れて行かれて渋々参加したコンパに女神はいた。

 

 ただ飲み会に参加したいだけの、天文学なんかこれっぽっちも興味のない騒がしいだけの女の子たちの中で、静かに微笑んでいた小夜ちゃんは冗談なんかじゃなく輝いていた。

 

 

 

「ええ?悠人、あの子みたいなのがタイプかよ」

 

 

 大人しすぎるし、地味じゃね?などと言う響太の目は節穴だとマジで思う。

 

 一つにまとめた艶やかな黒髪はサラサラで、眼鏡の下で微笑む瞳は限りなく優しい。

 

 何よりも話していると落ち着くんだ。

 

 うん、うんと相槌をしてくれる姿も思い切り笑った笑顔も、全部がオレの心を引き付ける究極の引力だ。

 

 もっと彼女を知りたくてサークルではいつも小夜ちゃんの隣を陣取った。

 

 響太がニヤニヤしながらチャチャ入れてきたり、周りの女の子たちが遠巻きに何か言ってるのなんかかまうもんか。

 

 でも困ったようにぎこちない笑顔を浮かべる小夜ちゃんを見ていたら、急に胸がしくりときた。

 

 小夜ちゃんにはいつも笑っていてほしいから。

 

 オレにも自制心はあるんだ。

 

 他ならぬ小夜ちゃんのためだ!

 

 サークルでも少しずつ距離を取るようにしていたら、なんだか前みたいに話せなくなってきて……。

 

 バイト先でぼんやりしてジョッキ溢れさせちまうし。

 

 なんだかモヤモヤしてきたオレ。

 

 好きな女の子に好きな気持ちを表すのは悪いことなのか?

 

 すぐ調子に乗るのはオレの悪いとこだけれど、小夜ちゃんへの想いは誰にも負けない!

 

 告白しよう。

 

 いったん決めたら有言実行だ。

 

 もうすぐ中秋の名月、たしかその夜に月観賞会をやるんだった。

 

 行くのを止めようと思ったけど、この夜にオレは賭けたい。

 

 そういえば小夜ちゃんは夏目漱石が好きで、卒業論文は絶対に夏目漱石って言ってたな。

 

『月が綺麗ですね』

 

  ILOVE YOUをそう訳したという夏目漱石

 

 そうだ……。

 

 夏目漱石を超えて、オレらしい告白をしよう。

 

 小夜ちゃんに届くように、心から真剣に告白しよう。

 

 

 その夜は見事な満月だった。

 

 相変わらず騒がしいだけの女の子たちの甲高い声が響いて、せっかくの中秋の名月も泣いてるようだ。

 

 こんな夜には静寂こそ似合うのに。

 

 その静寂を突き破らんばかりに、オレの鼓動は早鐘のように速くなっていた。

 

 小夜ちゃんはみんなと離れた場所から中秋の名月を見上げていた。

 

 月明かりに照らされた小夜ちゃんの横顔は、見惚れてしまうほど綺麗だ。

 

 

「悠人くん」

 

 

 気配に気がついた小夜ちゃんは振り向いて、そしてにっこりと笑った。

 

 

「みんなのところに行かなくていいの?

 

呼んでるみたいよ」

 

 

 チラッと見ると、向こうの方でオレを呼んでる声がした。

 

 

「いいんだ。

 

こんな夜は静寂が似合うだろ?」

 

 

 小夜ちゃんは少しぽかんとして、そしてすごく面白そうに笑った。

 

 

「悠人くん、詩人みたい」

 

 

 キラキラした笑顔。

 

 あぁ、小夜ちゃん、オレはね……。

 

 

 

「小夜ちゃん、オレと月まで登りませんか!!」

 

 

 突然のオレの言葉に小夜ちゃんは今度こそぽかんとしてしまう。

 

 

 伝われ!伝われ、オレの想い!!

 

 

 どれくらい時間が過ぎたんだろう、虫の声がやけに耳に響いてきた。

 

 月明かりはいっそう冴え冴えとオレたちを照らしている。

 

 瞬きするのも忘れるくらい、オレは小夜ちゃんをみつめたまま目が離せない。

 

 やがて少し微笑みながら俯いた小夜ちゃんは、頬を赤く染めながら言ったんだ。

 

 

「あなたとなら月まで登れそう」

 

 

 聞くや否や小夜ちゃんを抱き抱えてはしゃぐオレと、振り落とされないように慌てて、でも嬉しそうにしがみつく小夜ちゃんのシルエットが月明かりに浮かび上がる。

 

 虫たちの軽やかな音色と向こうの方で仲間たちのはやしたてる声が、二人の恋路を祝うファンファーレのようにオレには聞こえた。

 

 月のラヴレター。

 

 漱石を超えられたかな。

 

 そのとき、そっと手が繋がれて、オレの鼓動がさらに急加速してゆく。

 

 手の先から伝わってくる小夜ちゃんの想い。

 

 君となら月さえも超えて、どこまでだって登れそうだよ。

 

 溢れる想いを込めて、オレは小夜ちゃんの手をぎゅっと握り返した。

 

 月は優しい光でオレたちを包んでくれている。

 

 

 

                  完

 

 

 

 

綺麗な月の画像を見ていたら、ふと浮かんできて書いてみました。

 

恋する二人を月のパワーがさらに応援している、そんな気がします(*´꒳`*)✨

 

 

 

 

最後まで読んでくださりありがとうございます(*´꒳`*)